神の国発言!
滝元 順 牧師
 現在、森首相の「神の国」発言が大きな波紋をよんでいますが、その発言の中で、「わが国には昔から、その土地土地の山や川や海などの自然の中に、人間を越えるものを見るという考え方がある」とあります。この考え方は日本人に共通する神観念とも言うべきもので、物に霊が宿るというきわめてプリミディブなアニミズム的考えです。そのような考え方が古来から現代に至るまで修正されずに残っているとしたら、日本人は何らかの「超自然」を感じ続けている国民であると云えます。しかしながら、森首相も含めて日本人全般の神観念の問題点は、その曖昧さにあります。日本文化の中に、物事の白黒をはっきりせずにうやむやにする傾向があります。このような狭い国土の中で、お互い争わずに上手にやっていくために自然と身につけた術なのかもしれませんが、神の存在の有無は人類にとって曖昧に出来ない最大の課題です。日本人の感じている「超自然」とは、自然そのものではなく、自然を創造した創造主なる「神」の存在に他ならないのです。
 アニミズムを維持するためには常に、降霊術師、シャーマンの存在が必要であり、シャーマン的存在を頂点とする神の国思想が日本の根底にあるように思います。かつて日本は天皇を中心とする神の国建設という間違いを犯し、アジアの諸国に多大な迷惑をかけた歴史があります。二度とそのような過ち繰り返してはなりません。そして、その悲しい歴史の背後に、「間違った神の国思想」があったことを忘れてはならないのです。
 さて、聖書全体の視点も「神の国の実現」にあります。しかしそれは、人間中心ではなく、天地宇宙を創造した神により、世界が支配される「神の国」の実現です。神とは、「過去」「現在」「未来」を全て現在形で掌握されているお方です。この神による世界支配がなされるとき、真の平和と自由が訪れると聖書は教えています。
 
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