いのちのパン
滝元順

新城教会主任牧師
滝元順

パラダイム・シフト
 日本人が一般的に持っている宗教的世界観は、重層信仰、即ち、シンクレティズムと呼ばれるもので、その根底をなす神観が「アニミズム」にあるといえます。アニミズムとは、「神霊、死霊、祖霊、妖精、妖怪といった、さまざまな目に見えない霊的存在が自然の中に宿っている」という考え方です。この考えは、諸宗教の根元的形態の一つで、神道や民間信仰、そして、仏教の中にもあります。したがって、仏像や仏壇、神社の中に霊が宿っているように思えるのです。IT化の進んだ今日においても、会社にコンピューターが入るとき、お祓いを受けないと何となく心配になるのも、アニミズム的世界観のためです。古代ギリシャ人も同じ考え方を持っていて、ギリシャ神話にまつわる神々も、そんな中から出現したものです。聖書を読むと、約二千年前のアテネについて、パウロという人物が記したレポートを見ることができます。当時アテネには、手で作った神々への祭壇があふれていましたが、その中で一つの興味深い祭壇を発見しました。それは、「知られざる神々へ」という祭壇でした。ギリシャ人は多くの神々を祭りましたが、まだ祭り忘れている神様がいるのではないだろうかという心配があったからです。そこからパウロは、ギリシャ人の神観念を覆す真理を語りました。この視点は、ギリシャ人にとって、本物の神と出会うための大きなきっかけとなりました。
 それは、「天地を作られた神は、人間の手で作った宮とか、石や木に住むことはない」そして、「私たちこそ、神の中に生き、動き、存在している」、「ギリシャのみなさんが考えているとおり、神は遠くには離れてはいません。」と語ったのです。
 日本人は神を求めるすばらしい国民です。しかし、ギリシャ人と共通する物の見方にとらわれて、ホンモノの神様に会えないのです。神様と出会うためにはパラダイムシフト、即ち、「世界観の転換」が必要です。私たちこそ、神の中に住んでいて、その方が唯一の神、イエス・キリストです。
 一度、あなたも石や木の神様を拝む手を休めて、目には見えない唯一の神に祈ってみてください…「私はすでにイエス様の中に存在していることを信じます。ホンモノの神について教えてください。すばらしいことが人生に起きますように!アーメン」

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