いのちのパン
滝元順

新城教会主任牧師
滝元順

北風の中で

 日本人はきわめて宗教的な国民のように見えます。なぜならば、毎年、文化庁が刊行する『宗教年鑑』をはじめ各種統計資料によれば、各宗教教団から提出された宗教別信者数の合計は、総人口の1.8倍にもおよぶ2億1600万人にも上るからです。けれども、実際、日本人の宗教意識とはどのようなものでしょうか。天地を創造し、すべてを支配されている神を敬い礼拝するという、宗教本来の目的からは遠く離れ、宗教活動の目的が生活の向上と、よりよい経済活動の手段となっているという現実です。本来、神が実在するとすれば、人の営みのすべては「神のため」に集約されるべきです。しかし、日本人の中には、「自己の利益のためには神をも利用する」という、「人が神を支配する構造」が見え隠れしています。日本には八百万の神々が存在すると言われますが、どの存在が真の神であるにせよ、この順序と関係が狂っている以上、神は人の願いに答えることは出来ないはずです。バブル期の到来と共に訪れた宗教ブームは、まさにそのことを如実に現していました。そして、その結果は現代社会の有様そのものです。
 まもなく、クリスマスの季節になります。人類は神によって創造されたのですが、いつしか真の神から離れ、自分勝手な道を歩み、おろかにも神をも自分の支配下に置こうとしたのです。そんな人類をもう一度神との正しい関係に引き戻すために、神が人となって現れてくださいました。それがクリスマスの目的であり、人類への神からのメッセージでした。神との関係が改善され、営みのすべてが「神のためにある」というポジションに転換されるとき、人生には新しい扉が開かれるのです。「イエス・キリストを信じる」とは、決して「手段」ではなく、「神のための人生への転換」です。その結果として、様々な問題解決や、祝福が人生に訪れるのです。
 北風の強い季節がやってきました。今年は不況風の勢いも加わり、今までにない寒い冬になりそうです。そんな中、一度立ち止まり、今まで歩んできた道を振り返り、神との関係についても考え直す必要があるのではないでしょうか。


●声を出して祈ってください。
祈り:創造主である神さま。今まで、神をも自分のために利用しようとしていたことを、おゆるし下さい。今日から、神のための人生へと変えてください。イエス様のお名前によってお祈りします。 アーメンバックナンバー


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