賛美許された者 中谷 望さん

賛美許された者

中谷 望さん 中学の時、ブラスバンドで初めてフルートを手にして40年になります。国立音大を卒業した時、思いがけず作曲家の富田勲氏に見いだされ、放送、レコード、CM、映画音楽などの録音に携わるスタジオミュージシャンの道を歩むようになりました。有名歌手のレコーディングなど一日数カ所もスタジオを駆け回ったり、時にはスポットライトを浴びることもある華やかな仕事です。収入も多くあり自分の実力を誇らしく思っていました。
 30代になってからソロレコードも何枚かリリースし、それらの共演者には坂本龍一氏、高中正義氏、村上秀一氏らがいました。そうした音楽の流行を追っかけ、おもしろおかしく演奏活動を続けていましたが、一方で刹那的なむなしさを感じるようになってきました。心に何も残っていないのです。演奏している意味が分からなくなり活動も停止してみました。まわりにいた友だちもあっという間に散ってしまいました。
 自分は何のためにフルートを吹いているのか?本物って何だろう?それは何処にあるのだろう?真剣に悩み探し求めました。そして、本を読み、クラシック音楽を聴くうちに、教会に求めている本物があるのかなと思えてきました。勇気を持って教会へ行き、メッセージを聞きましたが、自己中心的な考えは変わらず、自分に良いと思われる所を取り入れようと聖書に接していたようです。一年くらいたった頃、伝道集会で賛美の演奏を頼まれました。私にとってそれは容易いことで二つ返事で引き受け、当日を迎えました。そして、いざ演奏をしようとした時です。突然、体に震えが起き、危うく楽器を落としそうになりました。しどろもどろで何とか演奏を終えましたが、二、三日ぼーッとしていたのを今でも覚えています。きっと神様が私の傲慢さを見て、主を賛美するのにふさわしくない者と、強く示されたのでしょう。それから私は、神様を真剣に求めるようになり態度も変わりました。
 半年後、自分の罪を悔い改め、御子イエス様を救い主として受け入れ受洗に導かれました。42歳の時です。それからも事あるごとに自分の気づかない高ぶりや罪深さを示され、砕かれて行くうちに賛美出来る者へと変えられてきたようです。以前は醜い自分を表現してきた者が、今は神様を賛美する事許された者となりました。このことは驚きです。
 永遠の神様を表現するわけですから限界はありません。それどころか益々深さを増していきます。イエス様がともに歩んで下さるこの喜びを、これからも賛美し続けていきたいと思っています。





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